ThinkPad Forever

eijyo2004-12-09

 今月3日、IBMがパソコン部門を売却する噂がニューヨーク・タイムズから流れた。
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/1203/ibm.htm
 昨日、朝日新聞夕刊のトップ記事となり、夜の報道番組では各局がトップニュースで伝えた。
http://www.asahi.com/business/update/1208/071.html
 中国の聯想(Lenovo、2003年まではLegend)に12億5000万ドル(1288億円)で、従業員約1万人と共に売却する。これにはThinkPadの設計を担当している、日本の大和研究所のメンバーも含まれているとのこと。
 ThinkPadは600E、T21、T40とこの6年間に3台買い換えたが、とても気に入っている。ほとんど故障しないし、設計センスの良さもピカ一だ。
http://d.hatena.ne.jp/eijyo/20041025
 この提携、一般的には、1981年12月に発表されたIBM PC(8088、RAM16KB!)以来、23年間のIBMの輝かしいPC事業からの撤退という暗い面と、聯想のみならず中国のIT業界での地位向上ばかりが取りざたされている。
 しかし、裏ではIBMはしっかり、1株2.675HKドル(36.6円)で6億HKドル(82億円)相当の聯想の新株を取得し、最大18.9%の大株主となる。また、コンサルテーションやサービス事業に特化して、それらを中国でも展開するとのこと。つまり国際的な分業で、低収益の金物は聯想、高収益のサービスはIBMという構図である。
 確かに、PentiumM735、SXGA+、メモリー1GB、HD60GBのThinkPad T42が25万円では、いくら売っても利益は薄い。
 聯想にとって、はたして旧ブランド名同様、伝説的な提携となるのか、というと、株が売られている状況からも判るとおり、「IBMにお荷物を押し付けられた」という市場の認識のようだ。
  
 28年前、富士通直系のソフト会社に入り、電機労連の賃金の低さに驚き、これだから日本の電子計算機産業は発展するんだ と思ったが、コンピュータは当時も今も、薄利多売のビジネスである。
  
 ThinkPad Fanとしては、「ThinkPad」ブランドは聯想IBMの新会社が使い続けるわけで、設計コンセプトが変わらず、確かな物作りをやってくれるのであれば、ThinkPad Foreverである。5年間有効の「IBM」ブランドも、事と次第によっては、聯想が完全にIBMの傘下に入り、使い続けられる可能性も否定できない。
  
【2005.05.02追記】
 聯想が買収の手続きを完了。本社もNYに移す。
 米投資ファンド会社も3.5億ドルを出資。